おはようございます。タカハシイツロー(@takahashi126)です。
今回は辞めるつもりだった開発ワーカーを続けているワケの3つ目についてです。
- 主夫では役に立たないのが決定的に明らかになったから
- 縁があったから
- やっぱり開発ワーカーが好きだったから
パンツ丸見え面接を経てどうにか仕事にありついた僕でしたが、一つだけ困ったことがありました。それは仕事で赴任する先ができれば一番行きたくなかった国エチオピアだったことです。
エチオピアやエチオピアでの生活については「ここが変だよ、エチオピア。ちょっと変わっているエチオピア正教(キリスト教)」など以下のような過去記事でも書いていますが、エチオピアは仕事で住みたくない国ナンバー1だったんです。
- 他の東南部アフリカ諸国と違って外国資本のショッピングモールや店がないため外国人に馴染みのモノが手に入らない
- 通信が自由がされておらず電話やインターネットが国営一社の独占で質が悪い
- 政府が独裁的で近隣の東南部アフリカ諸国と比べてもいわゆる自由がない
などでした。
でも、エチオピアに赴任して1週間と立たずに刺激的なことがあったんです。
突然降ってきた幸運
確か赴任して3日後くらいにドナー会議があったんです。出席していたのは当時のドナーグループのリードをしていたフィンランド大使館と世界銀行、そしてドナーグループメンバーのUNICEF、USAID、イタリア大使館(IDC)、DFID、スイス大使館、アフリカ開発銀行とかだったと思います。そこにJICAの水衛生担当として出席したのです。
その会議は議題の一つは今後2年間のリードドナーを決めるというものでした。慣例では二国間援助機関と国際機関の二機関がリードドナーになるということで、早々にUNICEFが立候補し、二国間援助機関のどこがリードドナーとなるかというのが議論されていました。
USAIDもイタリア大使館も、DFIDもスイス大使館も積極的ではなくここでJICAとして立候補できたら面白そうだなぁ、、と思っていた矢先。UNICEFの担当者が僕にこう言いました。
Would you like to be a co-chair of donor group?
心の中ではやりたいなぁ、、、なんて思っていたので以心伝心!?!という感じで二つ返事「やる!!!」と言いたいところでしたが、そもそもエチオピアでの仕事もまだよくわかっていなかった赴任後数日という状況だったので、超日本っぽい返答をしてしまいました。
I’ve just started my assignment a few days ago and I need to consult with country rep to confirm if we can be a co-chair. But personally I’m interested in being so.
会議後、事務所に帰り事務所長に相談したところ、是非やるべきだとの前向きな返事をもらえたのでドナーグループに快諾する旨連絡をしました。
まさに突然降ってきた幸運な役回りでした。
プロジェクトではなく政策提言を
開発協力のプロジェクトを実施するだけではなかなか制度や体制を変えることができないという実体験をザンビアでした僕は、開発セクターの全体的な舵取りをするドナーグループでの発言力や相手国政府に強く働きかけのできる体制が必要だと考えていました。
そのため、リードドナーとなって水衛生セクターの議論を引っ張って行くことの出来る環境はプロジェクトを実施している時にはできなかったことができるのではとの期待があったのです。
開発ワーカーの方の中にはドナー協調、援助協調と言われる作業は政治的で本質的ではないと考えていらっしゃる方も少なくないと思います。でも、異なる役割を持つ開発ワーカーが同じ目的に向かって上手に役割分担をすることは必要なことだと思っています。
プロジェクトを担当する専門家には専門家の役割があり、援助協調という場でプロジェクトを実施しやすい環境を作る事業担当者には担当者の仕事があるはずです。
プロジェクトで挫折し、開発ワーカーを辞めようとまで思った僕にはリードドナーになることは新たなチャレンジで、プロジェクトの経験を違った形で生かすという意味ではチャンスだと感じました。
JICAでお世話になったあるベテラン専門家にはこんなことを言われたこともあります。
高橋さんは政治家みたいだ
僕にとっては嫌味とも思える言葉でしたが、政治家みたいにプロジェクトや事業を実施しやすい環境づくりをするべき人もいるはずだとその時は考えた気がします。
ちょうど開発ワーカーとして働き始めて10年を過ぎ、40歳になろうというタイミングだったのでこれまでの経験を生かし新たなチャレンジをするのは僕にとっても今までと違った形で開発協力に携わるいい機会でした。
これが思いの外大変でもあったのですが、それでもこう思えました。
あぁ、やっぱり開発ワーカーが好きだ
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