開発協力・国際協力

ハンドポンプの利用者は顧客として考えられていない現実

おはようございます。タカハシイツロー(@takahashi126)です。

前回のお話はこちら

普通に売っていないものを提供するためにはどうするか?

援助機関(国連、各国援助機関、NGO等)がよくするのはスペアパーツキットの提供です。

自分たちの支援で建設したものをなるべく長い期間にわたって有効利用してもらうためには必要最低限の支援だと思います。

しかし、問題は前回もお話した通り、必要になる部品は多くの場合ゴムやプラスチック製の部品ということ。

ハンドポンプの据付状態によっては同じ部品が何度も交換せざるを得ない場合もありスペアパーツキットの内容量が実際の修理頻度にマッチしないケースがあるのです。

例えば僕がザンビアで関わったケースでは、この部品の中でUシールだけが何度も磨耗してしまい、他の部品は使わないのにUシールばかり交換に使ってしまいなくなってしまうという事例がありました。

Afridev Spare kit

こんな小さくて大したことないゴム部品が一つ内だけで水を汲み上げられなくなるんです。

そうなるとUシールを手に入れるしかありません。

ハンドポンプは外国製、部品も外国製

東南部アフリカで見る主なハンドポンプは2種類あります。

インディアマークツー(India Mark II)と

India Mark II

アフリデブ(Afridev)です。

Afridev

これらは基本的にインドや中国で生産されているため、アフリカの多くの国にとっては輸入するものです。

つまり、小さな部品であっても輸入する必要があるのです。

スペアパーツの問題もあってガーナではIndia Mark IIを生産する体制を構築しました(2018年時点で生産しているかは調べていませんが)。

ハンドポンプを輸入するのは大きなプロジェクトを実施する援助機関のプロジェクトや政府などが多いですが、民間の代理店も輸入をします。

しかし、代理店はスペアパーツの販売を考えた輸入はしておらず、あくまでも大口顧客(開発機関)が大量発注するハンドポンプのセット一式を売りたいという考えがあることがザンビアでのプロジェクト実施時に代理店を対象に行った聞き取り調査でわかりました。

要するに村落で日々ハンドポンプを使っている住民やコミュニティーを顧客としてハンドポンプやその部品を販売しようという商売が全くないのです。

これでは部品は手に入りません。

現在でも様々な援助機関や研究機関が、ハンドポンプの故障期間(ダウンタイムという)を短くして効率的に維持管理をするための体制について調査研究や実証研究をしています。

そのアプローチのいくつかもご紹介しますが、 まずは僕が携わったSOMAPというプロジェクトのアプローチを次回ご紹介します。

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