おはようございます。タカハシイツロー(@takahashi126)です。
僕はザンビアでJICAのプロジェクトに携わっていました。もう10年以上前の話です。
インドで開発ワーカーとしてのキャリアを踏み出したものの、村落地域の貧困削減が貧困国の根本問題だと考えていた僕は、とにかくアフリカの村落でとにかく仕事がしたかった。
当時、JICAのジュニア専門員(現在とは制度がちょっと違う)という立場で、2年間のJICA本部での勤務を終えたのちの海外ポストを探す際、「アフリカ以外は行きたくない」とはっきり伝えていました。
その願いが叶いザンビアに赴任したのが30歳のころ。村落部に点在する井戸の維持管理体制を強化するというプロジェクトを一から立ち上げることになりました。
まだ若造でしたし、技術協力プロジェクト(技プロ)がなんなのかもいまいちよく分かっていませんでした。出てくる用語もよくわからず、、、R/DとかPOとか本部にいるときには扱っていなかった業務も一人で一からやることになりかなり戸惑いました。
プロジェクトが立ち上がったのはザンビアに赴任してから3ヶ月後。プロジェクトは事前の準備が大切だと良く言われますが、僕が立ち上げ時から一番大切に思っていたのは、成果を出してサッとプロジェクト終えるためのExit Strategy(出口戦略)でした。
プロジェクトの中には効果を拡大するためなのか、またはてこ入れするためなのか、延長されたりフェーズ2となって続けられたりするものが多くあります。開発プロジェクトの多くは意図した行動変容や新しい制度がなかなか根付かず本当に効果があるのかどうかわからない事業や相手国政府が自国予算では続けることのできない制度作りになってしまうことがあると思っていました
そのため、僕はプロジェクト期間中に相手国政府がしっかりと回していける制度を作り、回る仕組みに工夫をしようと思っていました。
その答えの一つが、プロジェクトで作る枠組みの国家プログラム化です。
どうせ日本の支援を受けて回すプロジェクトは一定期間で終わってしまう。その支援を受けている間でしか動かない仕組みを作っても意味がない。それなら、日本の支援があるうちにその仕組みを内部のものにして、支援がなくても回るようにしよう。それが枠組みの国家プログラム化です。
それを可能にするためにまずはドナー伺いをしました。プロジェクトのデザインを作る際、プロジェクトの活動とその結果期待できる成果を図式化し、それが国家プログラムとなることでどのようなインパクトが期待できるかをまとめた資料を携えてあちこちのドナーに会いに行きました。
当時ザンビアの水衛生セクターで大きなドナーだった世界銀行、UNICEF、デンマーク、アイルランド、ドイツの事務所を訪問しプロジェクトのセールスピッチをしました。加えて、WaterAidなど主要なNGOも訪問し同じように売り込みをしました。
2005年当時、ちょうどザンビアの村落給水衛生セクターではドナー機関が協調的に支援をするためのバイブルとなる国家プログラムNational Rural Water Supply and Sanitaiton Programme(NRWSSP)(プログラム文書が検索で出てこなかったのでアフリカ開発銀行のプログラムアプレイザルのリンクを貼ります)を作る準備作業が始まったところでした。
そこに現れた日本の若造が「ハンドポンプの維持管理については、JICAのプロジェクトでモデルを作る。継続的な外部支援がなくても、持続的にハンドポンプの維持管理ができるモデルだ。だから、それを国家プログラムの維持管理における基礎モデルとするべきだ」と言っていたわけです。
向こう見ずなのも幸いしてか、ザンビア政府で地方給水を主管する地方自治住宅省(MLGH: Ministry of Local Government and Housing)の中でも、「維持管理体制の強化はJICAに任せよう」という動きになり、ドナー側でのセールスピッチの効果もあってか、国家プログラム文書で僕が実施するプロジェクトのモデルが国家モデルと採用されたのです。
その名もSOMAP。(リンクはフェーズ2概要)
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