今まで1年以上住んだのはインド、ザンビア、タンザニア、エチオピアの4カ国。それぞれの国での仕事環境や立場、つまり給与や待遇が異なるので簡単に比較はできないけど、ちょっと振り返りながら比べてみました。
2カ国目は南部アフリカに位置するザンビア。ザンビアは1964年東京オリンピックの開催期間に独立したため、開会式の入場は北ローデシアとして、閉会式はザンビアとして参加していた。
また、有名なのはビクトリアの滝。
ザンビアと南隣のジンバブエとの国境に流れるザンベジ川には、世界三大瀑布の一つと称されるヴィクトリアの滝があり、アフリカを代表する動物、ゾウ、カバ、キリン、シマウマ、ヌーも多く住み、大自然が大変良く残されている。(ウィキペディア「ザンビア」)
そんな国、ザンビアに3年半ほど住んでいました。仕事は辛い時もあり、ストレス性の便秘などに悩まされる時期もありましたが、私生活は大変充実してとても住みやすい国でした。
憧れの地、アフリカでの仕事
当時、まだ駆け出しの31歳。夢にまで見たアフリカの地で自分なりのプロジェクトを回す大きなチャンスをもらい、ワクワクドキドキとともに不安も多く最初の1年間はとにかく忙しくて辛かった。国際協力機構(JICA)の専門家として村落部で普及していた井戸(ハンドポンプ)の維持管理体制を強化するプロジェクトに携わっていた。自分がいる間に達成しなければならない成果がある一方、持続的な制度作りには数字や形にはなかなか出てこない質的な変化などもあり、政府機関の行うプロジェクトの必要性と限界両方を思い知った。
インドではこれは喧嘩かと思われるくらいの喧々諤々の議論を通じて分かり合える友人関係を築いてきたが、ザンビアでは言い合ったら仲違いしてしまうようなところで、憧れの地アフリカでの仕事上の人間関係構築には何よりも頭を悩ませた。どの国にも、人間関係において読むべき空気や距離感というものがあるというのを肌で学んだ。
この頃、よく読み返したのは夏目漱石の草枕。
山路 を登りながら、こう考えた。
智 に働けば角 が立つ。情 に棹 させば流される。意地を通 せば窮屈 だ。とかくに人の世は住みにくい。
住みにくさが高 じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟 った時、詩が生れて、画 が出来る。
人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣 りにちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。
越す事のならぬ世が住みにくければ、住みにくい所をどれほどか、寛容 て、束 の間 の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。ここに詩人という天職が出来て、ここに画家という使命が降 る。あらゆる芸術の士は人の世を長閑 にし、人の心を豊かにするが故 に尊 とい。夏目漱石「草枕」
明けてくても暮れてもフットサル
ザンビアでの生活で心身のリフレッシュに欠かせなかったのがフットサル。現在のザンビアフットサルは大きく発展して代表チームまであるくらい。でも、2005年、僕がザンビアに行った頃はまだ10チーム強が集まってリーグ戦を行うくらいの小さなものだった。今では3部まである立派なフットサルリーグになっている。ちなみに、日本のチーム(現在はFC Japanという名前らしい)は現在2部リーグに所属している模様。
ザンビアで人工芝の野外フットサルコートができたのは2006年の春先。それ以来、週に3日ほどはフットサルをしていた。多くは日本人の仲間と、ザンビア生活の後半はイタリア人、イラン人、モテネグロ人、イギリス人らと毎週ボールを蹴っていた。このフットサルが生活リズムを整え、仕事以外に人と話す機会となり、心身ともにザンビアでの生活を支えてくれた。当時一緒にチームを作ってフットサルをしていたイタリア人は今ではザンビアフットサル代表チームのアドバイザーをしているし、リーグ戦で戦っていたチームの選手は今でも現役でやっている模様(LamasatのHassan Afifはフットサルホームページにも登場)
野生の王国
アフリカといえば、野生動物。ザンビアには野生動物が保護されている国立公園が幾つかあり、ゾウやキリン、ライオンなどはもちろんたくさんの動物を見ることができる。ケニアのマサイマラ、タンザニアのセレンゲティと比べると少々見劣りするかもしれないけど、ケニアやタンザニアにはない国立公園でのゲームドライブを楽しめるのもザンビアの魅力。基本的に動物を見に行くゲームドライブは早朝と夕方に行われるがそれ以外はのんびり。タンザニアのマサイマラでは一日中暑い中ゲームドライブをするので結構せわしない。
ゾウなんかは国立公園の境界線(柵などあるわけではない)を超えて、人の住む村まで来る。国立公園の外にあるホテルにもゾウが立ち寄ることもあり、夜ばったり遭遇するとなかなか怖いもんだ。僕がないとサファリに行った時は、国立公園の式との外にあるホテルに帰る途中にライオンの親子が暗闇から出てきて相当肝を冷やした。
観光地として最高
5年ほど前までザンビアに行くには香港かシンガポールを経由したのち、南アフリカのヨハネスブルグ経由で行くことしかできなかったが、今ではドバイ経由で比較的楽に行けるようになっている。楽にとは言っても日本からアフリカの地は遠いため長時間のフライトになるが、ナイアガラ、イグアスに続いて世界三大瀑布を見たい方は是非ともザンビアを訪れて欲しい。また、ついでに国立公園で野生動物を堪能できればアフリカの良いところを手軽に楽しめるのは間違いない。