Review

【3月のブックレビュー】ペンギンが教えてくれた物理のはなし




3月のブックレビュー

 

ペタペタペタ。

 

おはようございます。126です。

ペンギンって可愛いと思いません?

プリッとしたお尻をプリプリ振りながら、なんかふらふらしているような歩き方して。

 

だらしなそうに見えて、水に入るとスイスイ泳いじゃったりして。

 

でもさ、鳥なんだよね?

 

せっかく、飛ぶことを覚えたのに、なんで海に戻ったんでしょう?

 

3月に読んだ面白い本の中で今日紹介したいのは


今月は
 

ペンギンが教えてくれた 物理のはなし (河出ブックス) 

 

表紙も可愛いねw
ポチるとアマゾンのリンクにつながります。

全く自慢にならないんですが、ぼくは高校生の時理科系科目が全然ダメでした。そう書くと「今はできるのか?」と、疑問に思いますが、今もやっぱりダメです。積み上げてきたものがないからね。

 

でも、大人になればなるほど、理系の知識は必要だなぁ、とつくづく思うわけです。そう感じる人も多いことでしょう。これからは理系時代とまで言われるくらいの社会になっていますしね。

 

この本はバイオロギングという技術を使って野生動物の生態を調べることについて書かれています。そして、生態学と物理学のつながりについても書かれています。だから、ペンギンが教えてくれた物理のお話なんですね。

 

バイオロギングとは

 

バイオは生命体のBioです。


ロギング(logging)はデータロギングというように記録するということ。つまりは観察だけではわからない動物の行動をデータとして記録する技術のこと。

 

鳥がどこをどれくらいのスピードでどれくらいの高さを飛んでいるかなんて目視ではわからないし、目視しようとしてもすぐ遠くに行っちゃって目視し続けられないわけですね。

 

著者の渡辺さんによると、この本の目的は

 

バイオロギングの明らかにした野生生物のダイナミックな動きを紹介し、その背景にあるメカニズムや進化的な意義を明らかにすること

 

とのこと。読み進めば読み進むほど、動物たちの驚くべき環境適応力と生きる力にびっくりさせられます

 

これはどういうこと?


はてな「?」に思える箇所を幾つか抜粋してみましょう。

 

マグロの太平洋横断を可能にしているのは、魚類としては極めて異例な高い体温であった。

 

何?マグロってどこで生まれて、どこを泳いでいるか知っています?まぁ、好きで刺身も寿司も食べているでしょうが、マグロについてどれだけぼくらは知っているんでしょうね。

体温って何?って感じですけど、読んで納得しちゃいます。

 

ペンギンはあろうことか、せっかくのご先祖さまの苦労というか、進化をねじ曲げて、飛ぶことをやめ、海の中に入っていった。そんなペンギンの進化はおかしいと私も思う。

考えてみれば鳥類のペンギンだけでなく、哺乳類のアザラシやクジラ、爬虫類のウミガメなど、息をこらえて海に潜る肺呼吸の動物たちは、全て同様の矛盾を抱えている。<中略>

つまり動物の進化はあらかじめ決められた道筋に沿ってまっすぐ進みはしない。まるで酔っ払いの千鳥足のようにあっちにふらふら、こっちにふらふらして、あげくの果てには今来た道を戻ったりする。

 

ぼくらはみんな千鳥足でふらふら3歩進んで2歩下がるというわけではないが、その時その時のベストを目指して環境に適応していくというわけだ!

 

なにこれ!背中を押してくれるじゃん!!

 


飛ぶのも泳ぐのも物理学をよくわかっているからできる

 

物理学というととっつきにくいと思うのはぼくだけではないでしょう。

 

でも、動物の動きや行動が様々な物理学をしっかり反映していると知ると、自然や生き物の凄さを感じます。

 

エネルギー保存の法則がなんだか知らなくても、数式を知らなくても、鳥はそれを体現しているんですから。

 

それは人間も同じこと。泳ぐ時、走る時、そして様々なスポーツをするのに、物理学の数式を頭に描いているわけではないけど、大概のことは誰でもできるじゃないですか。

 

そこに物理的な思考を取り入れる人はイチローみたいに常人以上のことができるのかもしれませんね。

 

最後に

 

本書、数ヶ月積読本になっちゃっていたんですが、読み出したら面白くてあっという間に読んでしまいました。

 

ぼくは必ずしも普通以上に動物に興味があるとか、物理に興味があるわけではありません。でも、本書には世界不思議発見以上に「へー!」「え?なぜ?」という事実が出てくるので、面白い

 

バイオロギングによって何がわかったか、としてこういうものが挙げられています。

 

・アホウドリは四六日間で地球を一周する。

・ウェッデルアザラシは一時間近く息を止められる。

・クロマグロは太平洋の端から端まで横断し、また戻ってくる。

・グンカンドリは三日三晩着地することなくふわふわと舞い続ける。

 

へー、あっそ。で終わらしてしまえば、それまででしょう。美味しいマグロを食べるのに、太平洋の端から端まで横断することを知らなくてもいいですから。

 

ウェッデルアザラシがどんなのか、グンカンドリがどんな鳥かもよく知りませんよ、ぼく。

 

でもね、そこを面白くしてくれるのが本書です。

ぜひ、読んでみてください。

 


ペンギンが教えてくれた 物理のはなし (河出ブックス)

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