世界銀行には総裁や副総裁をはじめ、スタッフが投稿する世界銀行ブログがあるが、その中の一分野として水ブログというものがある。
一応、水で国際協力の仕事をしてきて、これからもその腕を磨きたいと考えているので、半定期的に最新の情報やトレンドを理解するためにフォローしている。2015年10月16日に6 ways to strengthen consumer voice in water and sanitation sectorthrough ICT platformというブログポストがあったが、中身は本タイトルのように水道サービスにて顧客満足度を高めるためにどのようにICTツールを立ち上げて運営する必要があるか、その6つのポイントが書かれている。要点は以下の通り。
1. 一緒に作る:顧客もツールのデザインや立ち上げに関わらせる
2. 顧客が使いたい、使いやすいツールを採用する:1.に近いが、顧客が使いやすいようなデータ入力方法を採用する
3. 情報の質を保つ:顧客の情報が信頼できるものかしっかり確認する。
4. 苦情や依頼に対応する体制づくり:苦情や依頼は伝えられるけど、一向によくならない!というのでは困るので、それらを聞き流さずに対応する体制を作る必要がある。
5. 顧客がサービスデータにアクセスできること:給水率が100%ではなく、24時間給水が普通ではない国や地域ではなかなか水道サービスの情報にアクセスできない。しかし、水道サービスを提供する自治体や公社が把握しているデータが公表され、そのデータに顧客が平等にアクセスできる環境が大切
6. 信頼関係を築くこと:何がなくとも信頼がなければならない。苦情や意見を言ったら、広く筒抜けではなかなか顧客の本音が聞けない。しっかりプライバシーは守られるべきだし、それによって顧客の信頼も高まる。また、無責任な対応が続くようでは、誰も水道サービスを提供する自治体や公社を信頼してくれない。公共サービスを提供する者として、顧客に対し真摯に向き合い、信頼を勝ち得なければならない。
こう見てみると、当たり前のことのように思えるが、途上国での水道サービスにおいてはなかなかできていない。ICTツールの例としてケニアのMajiVoice及びM-Maji(https://mmaji.wordpress.com)、インドのNextDrop、ウガンダのM4W、南アのWQR(Water
Quality Reporter)などが挙げられている。それぞれは目的もシステムデザインも異なるものの、よりよい水道サービスを実現するため、顧客と水道サービスを提供する自治体や公社との関係をよりよくするために活用されていることには違いはない。
水道のような社会・経済生活における基礎インフラは、サービスの持続性や安全性は勿論、値ごろ感も大切である。日本の水道サービスは世界的にも品質が高く、価格はそこまで高くはないので、日本で生活している限りはあまり実感はないだろうけど、気がつけば断水、泥水が出てくる水道などが一般的な途上国では、顧客の声が公になる事でサービス改善に拍車がかかるというのも間違った考えとは言えないだろう。