おはようございます。いつろー(@takahashi126)です。
ワンオペ3週目も無事終わりそうな週末ですが、第2週は長女が高熱にやられて大変な1週間でした。
周囲の日本人父兄との話からおそらくインフルエンザA型だったんだろうという結論になりましたが、火曜日に学校から連絡があってから日曜までの6日間毎日熱にうなされていました。上司に相談して半日を自宅勤務にさせてもらった日も数日ありました。(このような柔軟な対応をしてもらえてワンオペでもどうにか乗り越えられたと思う)
ちょうど仕事でも大きなタスクがあってバタバタしていた時期だったのですが、ある日とても悲しい報告を受けました。
4歳の子どもがトイレに落ちて亡くなった、と。
僕が関わる水衛生分野ではさまざまな組織が安全な飲み水の提供だけでなく、衛生的なトイレへのアクセスにも取り組んでいます。慣習的に野外排泄がいまだに多いエチオピアでは特に農村部においてトイレへのアクセスが大きな課題です。
トイレがないとどうなるかと言うと、排泄物による疾患が蔓延する恐れがあります。衛生的なトレイの普及は安全な飲み水とともに公衆衛生上とても重要な課題なのです。水衛生が不十分だと下痢症やコレラなどが蔓延し、特に5歳以下の子どもが死んでしまうことも多々あります。ただ、今回受けた報告は子どもがトレイに落ちて亡くなってしまったということで衛生上の問題があったというわけではありません。
では、なぜそれが水衛生に関わる僕らの課題なのでしょう。
公衆トレイの技術的仕様には様々な基準があります。人道支援の現場では難民や国内避難民の居住地域に仮設住宅や給水施設、公衆トイレや学習スペースなどを設置します。トイレは男女別にし、性的暴力が起きないよう配慮します。また、お年寄りや子どもなどが安心して使える設備設計にしないと立てられたトイレを使いにくいと感じる人が野外排泄をすることになってしまうわけです。
緊急支援の場合、長期にわたって使うようなトイレだけでなく、穴を掘った簡易なトイレ(通称Trench lantrines、仕様書などはこちらからもダウンロードできます)が使用されることも多々あります。日本の状況で例えるなら、被災地の集合避難所の周囲にいわゆるボットン便所のようなトイレを作るという感じに近いと思います。
トイレの穴が大きすぎると子どもが落ちてしまいます。子どもがトイレの穴に落ちないようにするためには、普段はトレイのドアがちゃんと閉まるような構造にするとか、建設場所を子どもの遊び場とは違う場所に作るとかさまざまな工夫をする必要があります。
人道支援をするものとしては、設置した施設や提供するサービスがきっかけで何らかのリスクにさらされるような事態は避けなければならないのですが、今回聞いた悲しい事件はトイレの穴があまりにも大きかったことが理由の一つとされているようでした。
水衛生支援に関わる1人として、また僕の責任範囲でもあるのですが、トイレの技術仕様を明確にしその遵守を確かなものにする事は今回の痛ましい事件を避ける上でも必要なアドボカシーの一つです。トレイの利用方法を丁寧に説明する衛生啓発の仕方も見直す必要もあるでしょう。
インフルエンザで辛い思いをしていた長女は5歳です。
同じような年頃の子どもが命を落とすことになってしまったこの痛ましい事件は同じ年頃をもつ親としての僕にとって、そしてまた緊急人道支援の現場で水衛生のサービスを提供する1人である僕にとって、言葉にならない重く苦しい出来事でうまく考えを整理して言葉にすることができません。二度と同じようなことが起こらないように、技術使用の基準を徹底したり、アドボカシーをする事は一つ今すぐでもするべきことです。
改めて人の命を救うためのサービスを提供する上での責任を痛感している週末です。
この記事へのコメントはありません。