おはようございます。126です。
ちょっと新コーナーを始めます。
読んだ本の中から、面白い本をピックアップして書評を書いてみようかと。
まぁ、これはなかなか難しいと思うんですが、レベルアップするためにはチャレンジを怠ってはいけないと思うので、はじめます。
2月のレビューは
「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。」
原書のタイトルはこんな感じ。
I’m Sorry I Broke Your Company – When
management consultants are the problem, not the solution
本書は以下の言葉で始まります。
申し訳なかった。心底、そう思っている。
おー、何だ何だ!?そうとう悪いことしてしまったの?会社を倒産させるような?
そして、こう続く。
あのときはよかれと思ってやったとことだったと言えば、少しは許してもらえるだろうか。
なんかただごとではなさそうな空気がむんむんしてくる。
ところで、話はぼくのことになりますが、ぼくも開発ワーカーとして、開発コンサルタントのようにプロジェクトの形成(デザイン)、実施監理(マネジメント)、評価モニタリング等に携わっており、会社のマネジメントコンサルタントではないものの、本書のエッセンスが参考になるところも多々ありました。会社経営やコンサルティング業に従事していればなおさら役に立つことでしょう。
例えば、エチオピアではビジネス・プロセス・エンジニアリング(BPR)やバランス・スコア・カード(BSC)を使った組織改善が行われている。組織改善においては日本のカイゼンも使われているくらい。それら、組織管理、経営管理の手法がどれだけ意味があるか?本書はその辺について著者の経験に基づいたある意味革新的な問題分析をしている。
ビジネスの問題はことごとく、状況に対して反応する人間が引き起こしている。
まるで、アドラーの個人心理学で、人生の悩みはすべて対人関係だと言っているみたい。
そして、こう続く。
ビジネスとはすなわち「人」なのだーー非理性的で感情的で気まぐれで、クリエイティブで、面白い才能や独創的な才能を持っている人間たちのことだ。
さんざんビジネスやマネジメントの勉強をし、実戦でコンサルティングの経験を積んできた著者がこう言うんですよ。
「マネジメント本」はまじめに読むとばかばかしい
ずばり、私が言いたいのは、優れたマネジメントというのは難しい理屈ではなく、「人」だということだ。
ただし、人に焦点を絞ると言っても、人事考課などに時間を費やせと言っているわけではないのです。ぼくは社会に出てから契約仕事ばかりで、日本でいうところの正規採用で会社に勤めたことはありません。それでも、上司の多面評価をする機会をもらったことが度々あります。そこでいつも思っていたのは、その人事評価作業が時間の無駄ということ。
例え、評価の仕方がPC上で4択か5択のクリックだけであっても、いろんな項目の評価をクリック、クリックしているだけで嫌になりますよね。そんな評価本当に意味があるのかと思えたけど、本書を読んで次に評価させて頂く機会があったら無視して本業に時間を費やそうと思うようになりました。
何が大切かと言えば、対話である。夫婦の関係においても、親子の関係においても対話が大切なように、マネジメントにおいても対話が必要ということです。誰もがそう言われればうなずくんじゃない?
ビジネス上の問題の多くはコミュニケーション不足によるものであり、コンサルタントとしての私の真価は、異なる部門や階層をつなぐコミュニケーションの橋渡しとなる事で発揮されることが多い。企業にとってはえらく金のかかるコミュニケーション方法ではあるが。
ぼくは夏目漱石の「草枕」の冒頭部分が大好きだ。
山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。
人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣りにちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。
越す事のならぬ世が住みにくければ、住みにくい所をどれほどか、寛容て、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。ここに詩人という天職が出来て、ここに画家という使命が降る。あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。
人が作ったものは、人がよりよくしていくしかない。何においてもマネジメントするうえで、問題になるのも解決するのもやはり人でしかないということ。他人のせいにしていると解決できるものも解決できない。ましてや、ツールや手法に凝ったところで、人を見なければ解決にはつながらない。
本書の著者は自分自身で直接会社を潰したことはないようだけど、マネジメント・コンサルタントの悪しき慣習が組織をぐちゃぐちゃにするという。経営やマネジメントに携わっていなくても、楽しめる一冊だと思います。
最後に人の世のすべての問題に当てはまる一文を引用して終わりにします。
人間こそ問題の原因であり、解決の手立てなのだ。
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