NPO/NGO

中学生の質問に答えました。夏の課題で何をすればいいか?

おはようございます。タカハシ126(@takahashi126)です。

 

今日はTwitterで頂いた質問に答えます。

 

学校の授業の一環で水についてプレゼンテーションをしなければならないので、どこか水不足の深刻な国に行って水をどのように使っているかなどを実際に見てみたいと思います。夏休みに考えています。力になれることはないでしょうか。

 

質問をしてくれた方は、中学生とのこと。

 

そこでまず僕が思ったことは、水についてプレゼンテーションするのに、わざわざ外国を訪れて現状を見ることが必要か?ということ。

 

そして、仮にどこかの国に行ったとしても、、観光客や旅行者がその国の水不足が深刻さを簡単に体感することができるか?ということも。


 

水不足の体験

 

いわゆる発展途上国にかれこれ13年住んだ僕が体感した水不足としてこんなのがある。

  • 南インドの山岳少数民族の居住地には水道や井戸はなく、村の水源は湧水だったため水を汲むのに10分ほど山を登らなければならなかった。
  • 上述の山岳少数民族の居住地では、水は貴重だったため、2日間風呂に入ることができなかった。
  • タンザニアの首都ダルエスサラームでは、断水が続き自宅の給水タンクが空になったため、給水車を呼ぶことが多々あった。
  • エチオピアの首都アディスアベバでも、断水のため自宅給水タンクが空になり、給水車を呼ぶことが数回あった。

どれも深刻な水不足だった。

が、しかし、夏休みの一時期を使って体験できるものではない。いずれも、その土地に住み、生活している中で感じる問題だ。

 

国際協力に携わってから15年ちょっとの間、長期滞在ではなく出張や旅行として訪れた国は25カ国ほど。仕事では水不足が深刻と言われる村落地域に行くことも多々あった。

 

現地の人々の話を聞くことで水がどれだけ不足しているか、水を汲むのにどれだけ歩かなければならないか、手に入る水が不衛生で健康被害がどれだけ多いかなどという話はよく聞いた。

 

さて、では、中学生が夏休みにどれだけ水不足の深刻さを体感し垣間見ることができるか?

 

これは中年オヤジの凝り固まった考え方かもしれないけど、僕の答えは大して見ることはできない、というところだ。

でも、百聞は一見しかず。確かに、自分の目で見ることは大きなインパクトがあるはずだ。  

 

では、何ができるか?

 

質問に対する僕の答えは2つある。一つは実際に水不足となっている途上国を訪れるという選択肢。もう一つは、日本でできることをするという選択肢。


 

途上国を訪れる

 

NGOスタディツアー・ワークキャンプガイドなるウェブサイトがある。こういう日本の国際協力NGOが主宰するスタディーツアーに参加し、現地の状況を自分の目で見ることは、仮に水不足を体験できないとしても必ず得るものがあると思う。

 

昔、僕がインド駐在員として働いていた特定非営利活動法人地球の友と歩む会(LIFE)という国際協力NGOはインドとインドネシアに置いて植林や井戸掘りワークキャンプをやっていた(もう20年近く前のことしか知らないけど)。ただし、この夏のスタディーツアーがどのような内容のものなのかはまだHPでは公開されていないので、確認が必要だ。

 

紹介したというNGOは他の国際協力NGOとともにスタディツアー研究会なるものを運営し、スタディツアーのマニュアル本という「実践的!スタディツアー学」という本を出している。中身は知らないけど、それだけより良いスタディツアーの企画運営の努力をしてきたNGOだし、これまで20年以上にわたりスタディーツアーを運営しているので、信頼できるNGOではある。 

 

簡単にWeb検索をしてみたところ、この夏のスタディツアーはまだ応募が始まっていないようだ。おそらく6月頃からいろんなツアーの募集が開始されると思うので、夏休みに海外に行って水不足の現状を見たいというのであればNGOの運営するスタディツアーに出るのが一番いいと思う。

 

理由は、安全で、便利で、かつ学びになるというところか。

 

中には年齢制限(高校生以上)とか、中学生の場合は保護者同伴が義務ということもあるかもしれない。そうであれば、お父さんやお母さんと一緒に参加して、途上国の開発問題、水問題を一緒に目の当たりにすればいい。

 

その結果として、家族みんなが、国際協力や持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)、日本の政府開発援助、NGOやNPOによる支援などについて考え、携わってくれるようになったら一開発ワーカーとしてはとても嬉しい限りだ。

 

 

日本でできること

 

水不足というと世界的にいくつか参考とするべき指標がある。それは、一日の水使用量。

国土交通省によると日本では一日289リットルの水が使われているという。2リットルのペットボトルにして140本以上になる。

 

日本の水使用量

 

一体何に使っているかというと、半分以上はトイレとお風呂。飲み水やご飯作りに使われているのは全体の23%ほどということ。

 

使用量の内訳

世界での水使用量を示す時、一人が一日に利用する水の量を指標として使う。最低限満たされるべきと言われるのは一日20リットルだ。これを20ℓ/人/日または20ℓ/c/d(cはcapita、dはdayの略)と表す。

 

日本の場合、289リットルという消費量のうち、23%が炊事なので、量にすると約66リットルが生きていく上で必要最低限な量と言えるかもしれない。風呂や洗濯は川ででもすればいい、という考えで。

 

実際に自宅でどれだけの水を使っているかは毎月の水道料金を調べればいい。量だけでなくいくら払っているかもわかる。それが日本の平均的な量と比べて多いのか、少ないのか。途上国で水資源が不足していると言われる国と比べてどうなのかを調べるだけでも興味深いプレゼンテーションができるのではないか。

 

WHOやUNICEF、世界銀行の水関連のページを調べるといくらでもプレゼンテーションに使える材料はある。

 

質問をくれた中学生は海外にまず行ってみようと思うくらいだから、英語はそれほど問題ではないかもしれない。そうであれば、英語のウェブサイトを調べれば調べるほど、たくさんの情報を入手できる。それらの情報は自分で海外に行くだけでは手に入らないものも多いと思うので、海外に行く以上に勉強になるかもしれない。

 

 

最後に

 

質問をくれた方が本当に中学生かどうかわからないけど、質問をくれたことがとても嬉しかった。学校の課題が理由であれ、きっかけであれ、世界の水問題に関心を持ってもらうというのは、水の仕事をしてきた僕にとってはとても嬉しいことなのだ。


水に関係する仕事をしなくても、水に関する国際協力に携わらなくても、生きていく上で誰にでも必要なのが水であり、その水は地球の中で循環する資源だ。気候変動や環境汚染が大きな影響をもたらす水は、水の惑星と言われる地球において、僕らの生活と密接に関係している。


今回、頂いた質問への答えが誰かの関心に火をつけることができたら本望だ。


最後に、これは宣伝になるけど、最近放送を開始したポッドキャストを聞いてくれたらとっても嬉しい。名前はFairly.fm(フェアリー エフエム)。開発協力やNPO/NGOに携わる人々の話を発信しているポッドキャストで、まだまだ改善すべき点は多いのだけれど、いずれは水問題についても触れると思うので、勉強の合間に、寝る前などに聞いてくれた嬉しい。ポッドキャストで聞く場合はこちらから購読を。

 

そして、他にも聞きたいことがあるようであればTwitterでダイレクトメッセージをください。

 

匿名でのご質問などはこちらから http://ask.fm/takahashi126

タカハシ126とは:自己紹介

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