おはようございます。タカハシイツロー(@takahashi126)です。
Yahooニュースに転載されていた読売新聞の記事の冒頭にこんな言葉がありました。
就労目的の「偽装申請」が横行する日本の難民認定制度について、法務省は…(略)
この冒頭部分には以下2つの問題が含まれていると思います。
1)難民審査が適切に公平に人道的観点から行われているか
この読売新聞の記事の冒頭は、日本での難民申請の多くは就労目的の偽装申請で、申請者の多くは難民ではありえないというような認識を与えかねません。本当にそうなんでしょうか。申請に関するデータを公表し、その内容と実情について説明されない限り、事実として呑み込めない内容です。
偽装申請とは、難民ではないのに難民に偽装して難民認定を申請すること、ということでしょうが、そもそも難民審査は適切かつ公平に行われているのでしょうか。
難民であるかどうかを審査する過程で、難民審査参与員が発したといういくつもの問題発言が以前公開されています。
【参考】難民審査参与員の問題発言・行動に対する申入書(全国難民弁護団連絡会議)PDF、(別添)難民審査参与員 問題ある言動 実例集PDF
この申入書とその別添として公開されている実例集を見る限り、公平な審査が行われているとは思えません。また、過去7年ほどの間難民申請件数は急増しているものの、認定数は増えていません。それが偽装申請であるのであれば、どのような偽装なのか明確に公開するべきではないでしょうか。
2)就労目的の在留申請に不当な手続きがないか。
法務省は、申請6か月後から一律に日本で就労を許可する現在の運用を撤廃し、就労を大幅に制限する新たな運用を始める方針を決めた。
難民申請をすると、申請6か月後には就労できる。だから、難民申請をする。それが、偽装申請であるのであれば、まず就労が許可される在留申請手続きを見直す必要はないのでしょうか。
もし、就労許可の取得が著しく困難であるがために、難民申請をすることで就労許可を取るという状況にあるのであれば、難民申請手続きにおける就労許可の程度を見直すだけでなく、そもそも就労を許可する在留申請手続きについても見直しをしないことには問題の解決にはならないと思います。
日本における外国人の就労需要、あるいは就労を斡旋する業者の実態、留学生を含む外国人在留者の就労環境と許可手続きなどと合わせて制度を考える必要はないのでしょうか。
就労、難民申請にかかる法的根拠を調べたわけではないので、事実誤認をしているかもしれないけど、法制度や各種申請にかかる制度的欠陥などをご存じな方がいればその反応を伺いたいと思います。
まとめ
難民「偽装申請」防止へ新対策、就労を大幅制限(Yahoo)の冒頭部分を読んだ最初の印象は、今後北朝鮮から日本に難民が来た場合の対応を視野に入れてのことかと勘繰ってしまいます。武装難民とか言い放った副首相がいたくらいですから。
北朝鮮からであっても、ミャンマーやタイからであっても、シリアやイエメンからであっても、難民であれば受け入れる義務があると僕は思います。社会に不安や混乱が生じるということをいう人がいるかもしれません。でも、世界にはそういう不安や混乱があるのです。日本は鎖国して世界の不安や混乱から無縁でいるということはできないですし、そんなことしたらそれこそ日本が北朝鮮になってしまう気がしているこの頃です。
最後にこれを書いた後に知った田中宝紀(@iki_tanaka)さんのオーサーコメントもご参照ください。
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